メキシコにおける知的財産保護の新連邦法が2020年11月5日に施行されました。特許法、商標法などが改正されます。特許法について概要は以下のとおりです。なお、施行時点で係属中の出願については、旧法が適用されるとの情報があります。
●発明該当性
-特許対象の追加(45条):
新規用途に限定された物質、化合物又は組成物について、特許対象となります。
-非特許対象の例示(49条):
また、例えば以下のようなものについて、非特許対象の例示が追加されます。
・ヒトのクローニング方法及びその産物
・ヒトの生殖細胞系の遺伝的同一性の改変方法及びその産物
・産業又は商業目的のヒト胚芽の使用
・植物種及び動物種(微生物除く)
・植物又は動物を得るための本質的に生物学的な方法及びその産物
・人体又は動物体に対する手術、治療及び診断方法
●分割出願について明文化
・親出願が係属中の場合(拒絶査定発行前、取下前、又は許可後登録料納付前)のみ、分割出願が可能です。
・自発的な分割出願は、同時に出願される場合に限り、複数の分割出願が可能です(但し、主題は異なっている必要あり)。
・特許庁が単一性違反を指摘した場合を除き、分割出願からの分割出願は認められません。
●ダブルパテント禁止の明文化
これまでの審査運用が明文で規定されます。
「他の特許で保護されている主題であって、本質的な技術的特徴が当該主題から実質的に改変されていないものについて、出願人が同一であっても当該主題に対して新たに特許は付与されない。」(50条、101条仮訳)
●特許期間の調整規定の導入(126条~136条)
メキシコにおける出願日から特許付与日まで5年を超える場合であって、審査の遅延が特許庁に起因する遅延である場合、5年を超えない範囲で、2日の遅延ごとに1日の補充的保護証明(特許期間の調整)の申請が、特許料の納付とともに、可能となります。
●いわゆるボーラー条項の導入
ヒト医薬の承認を受けるための試験・実験等のための特許発明の実施に対し、特許権の効力は及ばないとの規定が導入されます。
●実用新案権の保護期間の延長
実用新案権の保護期間が10年から15年に延長されます。