ブラジル特許庁は、2020年12月1日にバイオ関連の審査ガイドラインを改定しました。新しいガイドラインと以前のガイドラインとの主な違いは以下のとおりです。
1) 実施可能性要件に関して、特に技術的課題に関係しない限り、発明を実施するための標準的方法 (自明な実験またはルーチンの実験、例えばPCR反応のための最適条件の標準化など) は、過度な実験とは考えない。
2) 縮重ヌクレオチド配列は、それらが同じタンパク質を生成し、配列を定義するのに過度な実験が必要でない限り、特許が認められ得る。
3) 胚に適用される手術方法または外科的方法および治療方法または診断方法は、特許法第10条(VIII) に従い、明示的に不適法とされる。
4) 当初明細書に開示されない生物学的配列は、たとえその開示内容からそれらを推論することができても、新規事項の追加とみなされる。但し、その生物学的配列が当技術分野で既知であり、当初明細書に十分に言及されているときは、後から明細書に含めることが許容され得る。
5) アミノ酸配列およびヌクレオチド配列でそれぞれ定義されていたタンパク質およびDNAのクレームを、当初明細書に開示されている範囲で、アミノ酸配列およびヌクレオチド配列にそれぞれ書き直すことができる。
6) ペプチドおよびヌクレオチドのマーカッシュ形式を評価するための発明のサポート要件および単一性要件を明確化。
7) 抗体およびそのフラグメントに関して特許可能なものとみなされるものより優れた定義。例えば、抗体が抗原に自然に暴露された生物から得られたならば、その抗体も天然由来とみなされ、特許法第10条(IX)の制限の範囲に入れる。他方、ヒトの介入によってのみ (例えば免疫プロトコルにより)抗体を得ることができるならば、その抗体は特許可能な対象と考えられる。
8) ポリクローナル抗体を得る方法は、当該方法の全てのステップが、特許明細書に十分に記載されており、自然発生的でなく侵襲的でないならば、特許可能である。
9) モノクローナル抗体は、クレームセットにおいてそれらのCDR配列によって定義することができ、特にクレームは配列番号によって軽鎖および重鎖それぞれの3つのCDR配列をすべて記載しなければならない。
10) キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体、並びにこれらを得る方法の明瞭性、正確性およびサポート要件の定義。
11) ヒト胚性幹細胞の製品、ヒト胚性幹細胞を得る方法および使用方法に係る発明は特許対象となり得る。
12) 遺伝子利用制限技術 (Genetic use restriction technology: GURT)を包含する遺伝子修飾植物の生産/増殖方法、特に不稔性生殖体の生産を対象とする方法であって、外部の化学的誘発原を用いて植物の稔性遺伝子の活性化または不活性化に作用する工程を含む方法は、Biosafety Law (Law #11,105/2005) 第6条(VII) の条項に従い、特許対象から除外される。ただし、外部の化学的誘発原が関与しない稔性を回復する方法は、特許可能と考えられる。
13) 国内遺伝子遺産へのアクセスの場合には、出願前に、the System for Genetic Heritage and Associated Traditional Knowledge Managementによるthe Genetic Heritage Management Council (CGEN) への活動の登録が義務付けられる。