(2006 Annual Meeting)
概要
バイオテクノロジーは、生物の有する機能をうまく利用する技術であり、近年めざましい発展を遂げた技術分野の1つである。しかしながら、バイオテクノロジーがあまりに急速に進歩しているため、特許の世界においてそれに追随することが困難な面もある。度重なる生物関連分野の審査基準の改訂がそれを物語っている。また、バイオテクノロジー発明は、絶えず移ろいゆく生命現象の1コマを切り取って権利化を図るといった面もあり、発明の表現も様々で難しい。さらにバイオテクノロジーはその性質上、ヒトの病気の治療を目的とすることが多く、治療方法を特許の対象にする米国と、日本、欧州などの治療方法を特許の対象としない国においては、それぞれのプラクティスに併せてクレームの書き方を工夫する必要もある。
時折、バイオ分野でない方から「バイオがらみ」の発明についてご質問を受けることがある。今回の発表は、バイオテクノロジー以外の分野の方々に少しでもバイオ発明とはどういうものか、そしてバイオ出願の特殊性や問題点について、お話ししようと思う。特に、バイオテクノロジーと他分野の技術の融合が進む昨今、異分野の方々との共同作業が必要な場面も少なくないと思われるからである。
参考文献
日本弁理士会 中央知的財産研究所 「バイオテクノロジーに対する法的保護のあり方-明細書の開示・保護の範囲を中心にして」 研究報告第9号(平成14年3月31日)など
富田 憲史