中国では、第4次改正(2021年6月1日施行)専利法の第76条に医薬品パテントリンケージの規定が新設されています。この度、中国で最初のパテントリンケージに関わる紛争事件の第一審判決が出ましたので紹介します。
判決:中外製薬株式会社 v. 中国浙江省温州海鶴薬業有限公司
【背景】
原告の中外製薬株式会社は新薬のエルデカルシトールソフトカプセル(艾地骨化醇软胶囊)の発売許可所持者であり、当該新薬に関わる中国特許ZL200580009877.6(ED-71製剤)の権利者である。
被告の中国浙江省温州海鶴薬業有限公司は、中国国家薬品監督管理局にエルデカルシトールソフトカプセルのジェネリック医薬品の販売許可申請を出し、このジェネリック医薬品について第4.2類声明(当該ジェネリック医薬品はプラットフォームに登録された中国特許ZL200580009877.6の保護範囲に含まれていない)を出した。
原告は、専利法第76条の規定に基づき、北京知識産権法院に当該ジェネリック医薬品が原告の特許権の保護範囲に属することの確認を求める訴えを提起した。
【北京知識産権法院の認定】
2022年4月15日、北京知識産権法院は、被告のジェネリック医薬品は原告の特許権の保護範囲に含まれないと認定し、原告の請求を棄却した。
上記の判決に対して、原告は控訴の意向を示しています。
(白江 雄介)