令和5年4月1日より、一部の分割出願について所定の手続のもと、特許法第54条第1項が適用され、その審査が中止される運用が始まりました。これにより、原出願の拒絶査定不服審判の結果を踏まえて分割出願の対応を検討できるようになります。
(1)対象となる分割出願
原出願(親出願)の拒絶査定後に分割された分割出願(子出願)であって、下記(a)~(c)の全てを満たす審査着手前の出願:
(a)令和5年4月1日以降に分割出願(子出願)の審査請求がされていること
(b)原出願(親出願)について、拒絶査定不服審判請求がされて前置審査又は該審判に係属中であること
(c)前置審査または該審判の結果を待つことが便宜であること
<留意点>
・子出願が対象であり、子出願を原出願とした分割出願(孫出願)等は対象外。
・請求項の記載が「明細書に記載の発明。」等の具体的な発明特定事項を含まないことが明らかな場合は、上記(c)を満たさないとして、適用対象外とされる。
(2)必要な手続
分割出願(子出願)の審査請求日から5開庁日以内に、下記(a)及び(b)の両方の手続が必要:
(a)特許法第54条第1項の適用について事情を説明する旨の上申書の提出
(b)特許法第54条第1項の適用について事情を説明する旨の専用フォームの利用
(3)審査中止の期間
原出願(親出願)において下記の(a)~(c)のいずれかがなされてから3カ月後まで、適用対象となった分割出願(子出願)審査が中止される:
(a)前置審査において特許査定の謄本が送達される
(b)拒絶査定不服審判において最初の審決の謄本が送達される
(c)審判請求が取下若しくは却下される
詳細については、下記の特許庁HPをご参照ください。
日本特許庁 HP:原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について
(知財情報委員会)