ブラジル特許庁は、審判段階での補正と実験データの提出に関する決定を公表しました。
本決定は、2024年4月2日に発効します。以下に、本決定の概要をご紹介します。
[1]審判段階での補正について
審判段階での補正が、クレーム範囲を変更・拡張するものではなく、クレーム範囲を減縮することを目的としたものでなければならない。さらに、以下の要件(a)~(c)を満たす必要がある。
(a)補正は、審査段階での拒絶理由に関連するものでなければならない。
(b)補正は、拒絶査定されたクレームの対象に限定される。拒絶査定されたクレームの一部ではない対象に基づく補正は、クレーム範囲を減縮する補正であっても認められない。
(c)従属項で明確に規定されているか、独立項及び関連する請求項の組み合わせによって明確に導き出せる限定のみが認められる。明細書のみに記載された事項を組み込む補正は、たとえクレーム範囲を減縮するためであっても認められない。
[2]審判段階での実験データの提出について
実験データの提出は、進歩性の主張を目的とするものであれば受理される。
[補足事項]
・上記[1]の要件(c)について、従前と比較すると、従前では、(審判段階か否かに関わらず)審査請求後における補正において、クレームの技術的範囲を変更・拡張できないことのみが定められていたところ(ブラジル産業財産庁決議第93/2013号2.1(iv))、本決定により、審判段階の補正がより厳しく制限されることが明確になったと思われます。
・審判段階での補正が上記要件を満たしていないとブラジル特許庁によって判断されたときは、Office Actionが発行され、反論の機会が与えられますが、更に補正して対応することはできないとのことです。
今後新たに審判請求する場合は、本決定を踏まえて補正の要否を検討する必要があると思われます。
(中谷 俊博)