特許権存続期間延長制度は、昭和62年の法改正により導入された制度である。制度導入から近年まで、有効成分および効能・効果が同一の医薬品が既に薬事法に基づく製造販売承認を受けている場合には、用法・用量や剤形のみが異なる医薬品について新たに承認を受けても、その承認に基づく延長登録は認められていなかった。最高裁判決(平成21年(行ヒ)第324から326号)を受けて、平成23年12月28日に審査基準が改訂され、承認を受けることによって禁止が解除される「特許発明の実施」の判断において特許発明の「発明特定事項」が考慮されることとなったが、用法・用量等のみが異なる医薬品に対して新たな承認を受けても、対応する発明特定事項を含まない特許発明については、依然としてその承認に基づく延長登録は認められていなかった。今回の知財高裁大合議判決(知財高判平成25年(行ケ)10195-10198号)は、現在の審査基準を否定し、有効成分および効能・効果が同一であり用法・用量のみが異なる医薬品に対する承認に基づく延長登録を認めるとするものである。
櫻井 陽子