米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、プロセスクレームが米国特許法第101条に規定する特許を受けることができるプロセスに該当するか否かを判断する唯一の手法は、最高裁判所が過去の判決で示したMachine-or-Transformation Testである、と判示した。
併せて、CAFCは、今後の科学技術の発展とともにMachine-or-Transformation Testの適用が困難な場合も想定され、その場合は、該テストが変更され又は破棄される可能性があることを示唆した。
1. Machine-or-Transformation Test
Machine-or-Transformation Testのもとでは、プロセスクレームが特許を受けることができるプロセスであるためには、(1)又は(2)のいずれかの要件を満たしていることが必要である。
(1) プロセスが機械(machine)又は装置(apparatus)に結び付けられていること。
(2) プロセスが特定の物(article)を異なる状態(state)又は物(thing)に変換するものであること。
2. Bilski事件への適用
事件で問題となった発明は、「商品提供者によって定価で販売される商品の消費リスクコストを管理する方法」で、明らかに機械又は装置に結び付けられているものでない。また、クレームは、何らかの物理的対象又は物、又はそれらを表す信号を変換するものでなく、特定のものを異なる状態又は物に変換するものでない。したがって、CAFCは、出願に係るプロセスクレームは本テストの基準を満たしておらず、特許法第101条に規定するプロセスに該当しない、とした。
3. Useful, Concrete and Tangible result Test
CAFCは、プロセスクレームが特許法第101条に規定するプロセスに相当するか否かを判断するにあたって、State Street事件で裁判所が採用したUseful, Concrete and Tangible result Test(役に立ち,具体的で,有形な結果のテスト)は妥当なものでない、と判断した。
4.ビジネスモデルの特許性
CAFCは、ビジネスモデルを特許の対象から排除することは違法であること、また、ビジネスモデルに関するクレームにも他のプロセスに適用される特許要件と同じ要件が課せられることを確認した。