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【米国】クレーム解釈の控訴審でのレビュー基準に関する連邦最高裁判決(Teva v. Sandoz事件)

IPニュース 2015.01.28
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2015年1月20日、TEVA PHARMACEUTICALS USA, INC., ET AL. v. SANDOZ, INC., ET AL. 事件において、連邦最高裁は、クレーム解釈においてなされた、事実問題に関する地裁の認定をレビューするに際し、控訴裁判所は「de novo」基準ではなく、「clear error」(明らかな誤り)基準を適用しなければならないと判示した。

*「de novo」基準  地裁判決を考慮せず、審理を最初からやりなおすこと

*「clear error」基準  明らかな誤りがない限り、地裁の判断を尊重すること

[事件の概要]

Teva社(上告人)は多発性硬化症治療薬Copaxoneの特許権を有しており、Sandoz社(被上告人)がこの治療薬のジェネリック品を上市しようとしたため、Teva社はSandoz社を特許権侵害で訴えた。これに対し、Sandoz社は本特許の無効を主張した。具体的には、Sandoz社は、Copaxoneの活性成分が「5~9キロダルトンの分子量」を有するというクレームの記載が不明瞭であると主張した。分子量の測定方法が3種類存在するところ、いずれの方法で測定されるのかについて、クレームに記載されていなかったからである。

地裁は、各当事者の専門家証言を考慮して、特許されたクレームが十分に明瞭であり、本特許は有効であるとの結論を導いた。これに対し、控訴裁判所は、地裁によるクレーム解釈に関する全ての点(地裁の事実認定を含む)をde novo基準でレビューし、「分子量」という用語は不明瞭であり、特許は無効であるとの判断を示した。

連邦最高裁の多数意見のうち、主なものは以下のとおりである。

・連邦民事訴訟規則52(a)(6)は、「(控訴裁判所は)地方裁判所の事実認定を、それが明らかに誤っていない限りにおいて、無視してはならない。」と規定している。この規定に例外はなく、Markman判決も例外を認めたわけではない。

・「Clear error」基準は、特許事件において特に重要である。なぜならば、すべての手続を統括していた地裁の裁判官は、書面記録を読む控訴裁判所の裁判官よりも、「特定の科学的な問題および原理に精通」する機会に比較的多く恵まれているからである。

・地裁が内在的証拠(intrinsic evidence:クレーム、明細書、審査記録)のみをレビューした場合には、地裁の判断はまったくの法律問題であり、控訴裁判所はこの解釈をde novo基準でレビューする。しかしながら、地裁が、背景技術や、関連期間中の関連分野における用語の意味を理解するために、外来的証拠(extrinsic evidence)を必要とする場合、また、それらの補助的事実が争いとなった場合には、地裁は、外来的証拠についての補助的な事実認定をする必要がある。そして、地裁は、事実についての争いを決定した後で、認定した事実に照らして、クレームを解釈することとなる。クレームの最終的な解釈は、控訴裁判所がde novo基準でレビューすることができる法律的な結論であるが、その基礎をなす事実の争いに関する地裁の決定を覆すには、控訴裁判所は、地裁が事実認定に関してclear error(明らかな誤り)を犯したということを認定しなければならない。

以上

TEVA PHARMACEUTICALS USA, INC., ET AL. v. SANDOZ, INC. 最高裁判決

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