大法院は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの新規性・進歩性の判断に関し、クレーム記載の製造方法に限定して発明を把握するのではなく、その製造方法を含むクレームの全ての記載によって特定される「物」として把握して判断しなければなければならないと判示した。つまり、たとえ製造方法自体に進歩性が認められても、その製造方法によって特定される物の発明の進歩性は否定され得ることとなる。
従来の大法院判例では、製造方法によってしか物を特定できないという特別の事情がある場合には、当該製造方法の限定も考慮して特許性を判断するとされていた。今回の判決により、韓国におけるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの新規性・進歩性の判断については「物同一説」(「製法限定説」ではなく)であることが示された。
[原審の判断]
第9項発明は第6項発明の「偏光フィルムの製造方法」によって製造された「偏光フィルム」を対象とする。原審判決では、第9項発明は第6項発明と同じ技術的特徴をそのまま持っているので、第6項発明の進歩性が否定されない以上、第9項発明の進歩性も否定されないと判断した。被告(上告人、無効審判請求人)はこれを不服として上告した。
[大法院の判断]
物の発明のクレームに記載された「製造方法」は最終生産物である物の構造や性質などを特定する一つの手段にすぎず、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの特許要件の判断において、その技術的な構成を製造方法自体に限定して把握するのではなく、製造方法の記載を含むクレーム全体の記載によって特定される構造や性質などを持つ物として把握して、新規性、進歩性などがあるのかどうかを判断しなければならない。
原審は製造方法に関する発明の進歩性が否定されないという理由だけで、その製造方法が記載された物の発明である本件第9項発明の進歩性も否定されないと判断したが、この原審判決にはプロダクト・バイ・プロセス・クレームの進歩性判断に関する法理の誤解が判決に影響を及ぼした違法がある。
以上