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271条(f)(1)の侵害成否に関する最高裁判決

IPニュース 2017.06.23
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【米国】一構成部品の供給に係る271条(f)(1)の侵害成否に関する連邦最高裁判決
(Life Technologies Corp. v Promega Corp. 事件)

[判示事項]
2017年2月22日、Life Technologies Corp. v Promega Corp. 事件において、連邦最高裁は、特許法第271条(f)(1)に規定される『特許発明の構成要素の実質的な部分(a substantial portion of the components of a patented invention)』に1つの構成部品は含まれないとして、特許発明に係る製品を海外で製造するために、この構成部品の1つを輸出(供給)する行為が、特許法第271条(f)(1)の侵害を構成しない旨判決した。

[事件の背景]
1)Promega Corp.(以下、「Promega」)は、Tautz特許の独占的ライセンシーである。Life Technologies Corp.(以下、「Life Tech」)は、米国で製造したTautz特許に係る製品(遺伝子テストツールキット)の1つの構成部品を英国に輸出し、英国で他の4つの構成部品と組み合わせて製品を完成させて販売していた。
Promegaは、特許法271条(f)(1)に基づいて、Life TechがTautz特許を侵害しているとして提訴した。
2)地裁において、特許法第271条(f)(1)の「a substantial portion」は、量的(quantitative)に解釈され、「単一」の構成要素が含まれないとして、侵害が認められなかった。
3)CAFCにおいて、特許法第271条(f)(1)の「a substantial portion」は、質的(qualitative)にも解釈され、「単一」の構成要素でも重要であれば含まれるとして、侵害が認められた。

[連邦最高裁の意見]
連邦最高裁では、特許発明に係る製品のうち単一の重要な構成要素が、特許法第271条(f)(1)の「a substantial portion」に該当するか否かが争点とされた。
連邦最高裁は、特許法第271条(f)(1)の「a substantial portion」は、量的に解釈されると判断した。その理由として以下が挙げられている。
・特許法第271条(f)(1)では、「all or a substantial portion」と記載されており、「substantial」に隣り合う単語「all」及び「portion」が、「量的」な意味を有している一方で、「質的」な意味を有していないこと。
・構成部品が「発明で使用するために特に製造される若しくは特に構成されるものであり、実質的な非侵害の使用にふさわしい商品もしくは商業必需品でない」場合を規定した特許法第271条(f)(2)では、「特許発明の如何なる構成要素(any component of a patented invention)」と記載されており、これには単数も含まれている。すなわち、特許法第271条(f)(1)において、構成部品に単数が含まれるとした場合に、特許法第271条(f)(2)の意義が弱まること。
・特許法第271条(f)の立法過程から「量的」と解釈されること。

なお、特許法第271条(f)(1)の「a substantial portion」に、1つの構成部品は含まれないとしたが、いくつの構成部品であれば含まれるのかは判断されていない。

判決文はこちら

以上

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