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【日本】期間補償のための特許権の存続期間の延長制度について

IPニュース 2020.02.06
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 TPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の規定に基づき、延長登録の出願を行うことにより、期間補償のための特許権の存続期間の延長を求めることができます。

(1)適用対象案件
 2020年3月10日以降に出願された特許出願*1であって、かつ、
 特許出願の日*2から5年を経過した日又は出願審査の請求があった日から3年を経過した日のいずれか遅い日(以下、基準日という。)以後に特許権の設定登録があったもの。
*1 「2020年3月10日以降に出願された特許出願」は、出願日が2020年3月10日以降の出願であり、分割出願、変更出願及び実用新案登録に基づく特許出願の場合は、原出願の日が2020年3月10日以降の出願である。パリ条約の優先権主張または国内優先権主張を伴う出願の場合は、優先日ではなく当該出願をした日が2020年3月10日以降の出願である。
*2 「特許出願の日」は、現実の出願の日を意味するが、分割出願、変更出願及び実用新案登録に基づく特許出願の場合は、原出願の日が「特許出願の日」とみなされる。

(2)延長を求める期間
 延長を求める期間は、延長可能期間を超えてはならない。
 延長可能期間=(基準日から特許権の設定登録の日までの期間)-(控除期間*3
*3 特許法第67条第3項各号に掲げる期間を合算した期間であり、本項には10の期間が規定されている。実務的に留意すべきは、手続を執るべき期間の延長によって生じた期間、および、拒絶査定不服審判によって生じた期間が控除期間となり、延長可能期間から差し引かれる点である。

(3)延長を求めるための手段
 存続期間を延長するためには、「期間補償のための延長登録の出願」をする必要がある

(4)延長登録の出願が可能な期間
 期間補償のための延長登録の出願は、特許権の設定登録の日から月を経過する日までの期間内にする必要がある。

(5)留意点
・延長可能期間が存在しても、期間補償のための延長登録の出願をしなければ存続期間の延長はされない。
・特許庁から延長可能期間についての通知はされない。
・医薬品等の特許権の存続期間の延長(第67条第4項)は、期間補償のための特許権の存続期間の延長(第67条第2項)と組み合わせて利用できる。
・出願人が延長を求める期間が延長可能期間を超えていると判断された場合、延長登録出願は拒絶される。
・基準日から特許権の設定登録の日までの期間よりも控除期間が長い場合は、延長可能期間がないため、存続期間を延長することはできない。

 当該制度の詳細については、
特許・実用新案審査基準「第IX部 特許権の存続期間の延長
特許・実用新案審査ハンドブック「第IX部 特許権の存続期間の延長
をご覧ください。

 なお、最新の特許行政年次報告書2019年版によりますと、平均の権利化までの期間(2017年時点)は14.1か月ですので、この期間補償のための特許権の存続期間の延長制度が適用され得る案件は多くはないと思われます。

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