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【日本】実用新案権侵害訴訟平成17年(ワ)3057号

IPニュース 2006.11.25
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平成17年(ワ)第3057号実用新案権侵害差止等請求事件
(大阪地裁平成18年3月2日)

概要

1.判示事項
裁判所は、本件考案と同一の分野の考案と、本件考案とは技術分野が同一でない考案との組み合わせにより、本件考案は進歩性(実用新案法第3条第2項)がなく、無効とされるべきものであり、実用新案法第30条で準用する特許法第104条の3第1項により本件実用新案権を行使することができないと判断し、原告の請求を棄却した。

2.事案の概要
本件は、「足場部材のロックピン」に関する登録実用新案の共有権者である原告らが、被告が製造販売等している製品が実用新案の技術的範囲に属し、その製造販売等が原告らの実用新案権の侵害にあたると主張して、被告に対し、被告製品の製造販売等の差止め等と、損害賠償を請求した事案である。

3.無効理由の抗弁の要旨
本件考案と同一の技術分野の「管用継手」に関する引用考案1は、ロックピン(構成要件A~Eのうち構成要件A,E)である点、ピン部材(構成要件B)を有する点、及び縦斜面(構成要件C)を有する点で本件考案と共通するが、内管と外管(2つの足場部材)を取り外す手段(構成要件D)が本件考案と相違する。しかし、引用考案2,3は、構成要件Dに相当する構成を有する。引用考案2,3は、「写真機用三脚」に関するものであるが、本件考案(引用考案1)に近く関連した技術分野であるので、引用考案1に引用考案2,3を組み合わせて本件考案のとおりに構成することは、きわめて容易に想到し得た。

4.原告の反論の要旨
本件考案(引用考案1)と引用考案2,3は技術分野が大きく異なるので組み合わせの動機付けが全く存在しない。また、引用考案1と引用考案2,3とでは適用対象物の作用機構が異なるので、両者を組み合わせるのは当業者の予測の範囲を超えている。さらに、引用考案1と引用考案2,3とでは作用・機能が異なる。

5.裁判所の判断の要旨
本件考案と引用考案2,3との技術分野には関連性があり、同様の課題を解決する技術手段を適用することはきわめて容易になし得た。また、内管と外管を最終的に分離するか否かによって、固定手段の構造に構造が生じないので適用対象物の作用機構の相違は組み合わせの阻害要因とならない。さらに、「抜け止め」か「位置決め」かによって置き換えが困難となるものではない。

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前堀 義之

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