意匠登録出願において、新規性喪失の例外適用を受ける場合は、出願日から30日以内に証明書を提出する必要があります。これまでは、原則、全ての公開行為について証明書を作成して提出する必要がありましたが、下記の日本特許庁HPで発表されている通り、本改正法の施行日である2024年1月1日以降の意匠登録出願については、同一意匠を複数回に渡って公開した場合や、類似関係にある複数の意匠を同日又は異日にそれぞれ公開した場合、最先の日における公開行為に関する証明書を提出すれば、それ以後の公開行為については証明書を提出する必要がなくなりました。
日本特許庁HP:意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について(出願前にデザインを公開した場合の手続について)
最先の日に2以上の公開行為があった場合には、そのうちの1つの公開行為に関して証明書を提出すれば、その他の公開行為に関する証明書の提出は不要となりました。
また、証明書に記載の公開意匠と同一ではない意匠を同日又は後日に公開しても、上述した通り、その意匠が公開意匠と類似するものであれば、その公開行為に関して証明書を別途提出する必要がなくなりました。公開意匠と類似すると判断される可能性がある意匠としては、例えば、カラーリングに違いがある意匠、マイナーチェンジの意匠やバリエーション意匠が挙げられます。ただ、このような意匠に関して公開意匠と非類似と判断されると、これを公知意匠として引用する創作非容易性欠如の拒絶理由通知書を受ける事態となる可能性がありますので、同一ではない意匠の公開行為に関しては証明書を別途提出して、そのような事態に陥らないようにしておくのが望ましい対応であると思われます。
なお、上記の改正の対象は意匠のみであり、特許及び実用新案については、従前通り、原則、全ての公開行為に対して証明書を提出する必要がある点、ご留意下さい。
(岡崎 博之・大西 陽子)