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【ドイツ】ドイツにおける先使用権に関する連邦最高裁判決

IPニュース 2024.03.06
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 ドイツにおける先使用権に関する連邦最高裁判決(判決 X ZR 61/21:2023年6月20日)を紹介します。

1.背景
 ドイツ特許法第12条によれば、特許権は、出願時にすでにドイツ国内でその発明の使用を開始していたか、またはそのために必要な準備をしていた者に対しては効力を有しない。これは実用新案権にも同様に適用される。
 本件では、被告が当初登録実用新案の請求項の範囲内の製品を先使用していたが、原告の実用新案が登録後に減縮訂正されたこと、および、被告の製品も改変されたことによって状況が複雑化した。
 先のデュッセルドルフ高裁判決では、改変前の先使用製品が減縮後の請求項の範囲内に属さないこととなるため、先使用権は認められないとしていた。なお、改変後の製品は、減縮後の請求項の範囲内に属すとされていた。

2.決定の内容
 先使用者の保護は、減縮訂正によって損なわれることはなく、さらに製品に対して以下の改変を行う場合には先使用権が製品の改変によって排除されることはない。
・その改変が、発明を保有していた当業者にとって自明であった場合、または
・その改変が、特許または実用新案で指摘されているさらなる利点と関係がない場合

 上記観点から、連邦最高裁は、先使用対象の製品の改変が先使用権の対象となるか否かについて評価されていないとして、実用新案侵害訴訟をデュッセルドルフ高裁に差し戻した。

(参考)
ドイツ連邦最高裁 X ZR 61/21判決文(ドイツ語原文)

(近田 暢朗)

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