インドネシアでは、特許出願手続きに重要な変更をもたらす特許法の大幅な改正が行われ、本改正は2024年10月28日に発効しました。
以下に、本改正の重要な点を概略します。
[2024年インドネシア特許法(2024年10月28日発効)の重要な改正点]
1.発明の定義の拡張(1条)および特許保護対象の拡大(4条)
新しい法律では、「発明」の定義が拡張され、システム、方法、及び用途が明示的に含まれることとなった。
また、特許としての保護対象から、コンピュータ・プログラムは除外された。ただし、例外としてコンピュータ関連発明については保護対象となることが明示された。
さらに、従来、既知物質の新規用途及び既知化合物の新規形態は保護対象ではなかったが、これらについて非特許対象の項目から削除されたことにより、改正法下では保護対象となることとなった。
2.新規性喪失の例外(6条)
新規性喪失の例外の猶予期間が6ヶ月から12ヶ月に延長された。
3.特許実施要件(20A条)
特許権者は年末までにインドネシア特許庁に特許実施状況に関する年次報告書を提出する義務がある。
4.優先権の回復(30条)
優先権主張期間(優先日から12ヶ月)を徒過した場合でも、優先日から16ヶ月であれば、手数料の支払いにより優先権の回復が認められる。
5.方式書類提出期間の延長について(35条)
方式書類提出の期間につき、2ヶ月の延長後、従前認められていたさらなる延長(1ヶ月)が法改正により認められなくなった(さらなる延長を認める条項が法改正により削除)。これにより、方式書類提出のために認められる延長は2ヶ月のみとなる。
6.方式書類が不完全であるために取下擬制された出願の回復(36条)
方式書類が不完全であるために取下擬制された出願は、取下擬制された旨の庁通知書の日付から6ヶ月以内に、所定の料金の支払いにより、回復できる規定が設けられた。
7.自発的に取り下げた出願の回復(43条)
自発的に取り下げた出願は、出願が取り下げられた旨の庁通知書の日付から6ヶ月以内に、所定の料金の支払いにより、回復できる規定が設けられた。
8.早期実体審査請求の新規導入(55A条)
出願の方式的要件が満たされたことが宣言されて出願日が付与された場合、出願人は出願公開前に早期実体審査請求を提出できる(出願公開前であることが要件とされる)。早期審査の結果は、公告期間(出願公開から6月)の満了後に提供される(ただし満了後30ヶ月を超えることはない)。
9.実体的再審査請求の新規導入(63A条)
・庁料金の支払いにより、実体的再審査を請求する選択肢が導入された(63A条1項)。
・実体的再審査は、a.出願の拒絶、b.特許後の明細書、クレームおよび/または図面の訂正、c.特許許可決定、d.取り下げ、および/または、e.取り下げられたとみなされたこと、を対象として請求し得る(63A条2項)。
・上記cを対象とする実体的再審査は、出願人またはその代理人のみ請求可能である(63A条3項)。
・上記a, b, c, eを対象とする実体的再審査の請求書は、許可、拒絶、または取り下げられたとみなす決定の日から9ヶ月以内に提出しなければならない(63A条4項)。
・上記dを対象とする実体的再審査の請求書は、取り下げ決定の日から2ヶ月以内に提出しなければならない(63A条5項)。
・実体的再審査請求を認めるまたは拒絶する決定は実体的再審査請求の日から12ヶ月以内に発行される(63A条6項)。
・実体的再審査請求の要件と手続きに関する更なる条文は省令によって規定される(63A条7項)。
10.2024年インドネシア特許法の下での2つの選択肢
・実体的再審査を請求し、その後審判を請求することが可能(68条1項、69条1項)。審判は、実体的再審査の拒絶する旨の通知を受けてから3ヶ月以内に請求する。
・再審査を請求することなく直接審判を請求することもできる(これまで通り)。審判は、拒絶の通知を受けてから3ヶ月以内に請求する。
11.発明の遺伝的資源について規定改正(26条(1)、132条(1b))
発明が遺伝的資源および/または伝統的知識に関する及び/または由来する場合について、当局による決定を要件とする規定が削除され、当該遺伝的資源および/又は伝統的知識の由来を明確かつ正確に開示しなければならないとの規定に改正された。特許権者が、26条に規定された遺伝的資源および/または伝統的知識の由来の開示において、不誠実な行為をした場合には、裁判所の判決により特許無効とされる。