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【日本】標準必須特許とその権利行使をめぐる動き

IPニュース 2013.11.14
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担当:川端 純市

1.概要
スマートフォンに係る特許についてアップルとサムソンとの間で複数の訴訟が世界的に提起されてり、スマートフォン戦争と呼ばれている。最近になり、いくつかの訴訟において判決が出されているが、それらの中には、特許侵害であると認められながらも、差し止め請求等の権利行使が制限されているものが見られる。これは、権利行使を行う特許が“標準必須特許”であることに起因している。
本発表では、“標準必須特許”に間連して技術標準について説明するとともに、標準必須特許の問題点及びその権利行使をめぐる動向について説明する。

2.標準必須特許(SEP: Standard Essential Patent)
(1)標準必須特許とは、技術標準(規格)に準拠した製品の製造、販売等を行うのに避けることのできない特許のことである。技術標準(規格)とは、主に産業や技術の分野において、製品や材料あるいは工程などに関して定義された基準である。特に情報通信分野においては、ハードウェア、ソフトウェア、通信、電気等各分野においてそれぞれ規格が制定されている。技術標準は多くの場合、標準化団体によって、策定されたり、勧告という形で提案されたりする。
(2)ホールドアップ問題
技術標準(規格)が策定された後になって、当該技術標準(規格)に採用された技術の標準必須特許を有する事業者が、他の事業者に対して標準必須特許の権利を行使する(法外なライセンス料を要求する)こと。他の事業者は、代替の技術がないため、事業を継続するために高額なライセンス料を支払わなければならない。
(3)パテントポリシー
ホールドアップ問題を回避するため、多くの標準化団体はパテントポリシーを制定している。パテントポリシーは例えば、標準策定に関わる特許権者に対して、標準必須特許を保持していることを開示する義務や、ライセンス許諾の可否/条件を宣言することを求めている。ライセンス許諾の条件の1つとしてFRAND条件がある。FRAND(Fair, Reasonable And Non-discriminatory)とは公平、道理的かつ非差別的という意味であり、FRAND条件とは、高額にならない合理的な額でかつ誰に対しても平等にライセンスを許諾するという条件である。
(4)パテントポリシーが制定されてもホールドアップ問題は依然として残っている。最近各国の当局において、ホールドアップ問題を懸念し、標準必須特許の権利行使を制限しようとする動きが見られる。

3.標準必須特許の権利行使をめぐる動き
(1)東京地裁(2013年2月):アップルによるサムスン特許の侵害を認めつつも、FRAND条件に基づく誠実交渉義務違反等により権利濫用に該当するとしてサムスンの損害賠償請求が認められなかった。
(2)米国ITC(2013年8月):ITCはアップル製品のサムスン特許の侵害を認め、アップル製品の輸入差し止め命令を出したが、それに対して米国大統領は拒否権を発動した。
(3)欧州委員会(2013年1月):FRAND条件でライセンスを希望しているアップルに対して複数の加盟国で差し止め請求訴訟を提起していることが市場支配的地位の濫用に該当する懸念があるとして、サムスンに意義告知書を通知した。

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以上

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