本件特許出願(No.96903521.1)は、ウィスコンシン大学卒業生研究財団(Wisconsin Alumni Research Foundation:WARF)が1995年に出願した「霊長類から胚性幹細胞を取得する方法の発明」に関するもので、体細胞の分化能力を失うことなく長期間に亘ってヒト胚性肝細胞を体外で維持する方法が開示されていた。2004年7月13日、EPO審査部は、本件の対象は欧州の欧州特許条約(EPC)によって特許を受けることができない発明に関するものであることを理由に、本件発明を拒絶した。問題の一つは、幹細胞を取得する方法によれば出発物質である霊長類(ヒトを含む)の胚細胞がプロセス中に破壊される、という点にあった。審査部は、この点に注目し、本件発明は欧州特許条約及びバイオテクノロジー発明の法的保護に関するEU指令(98/44 EC)の規定に違反するものである、とした。このEU指令は、欧州特許条約の一部を構成するものであり、そこではヒトの胚を産業や商業の目的に利用する発明について特許を付与することを禁止している。
したがって、今回の決定は欧州特許条約の規定及びEUバイオテクノロジー指令に沿ったものであるが、拡大審判部は本決定がヒト幹細胞の特許性に関する一般的な問題を扱うものでないことを強調した。
本件特許出願(No.96903521.1)は、ウィスコンシン大学卒業生研究財団(Wisconsin Alumni Research Foundation:WARF)が1995年に出願した「霊長類から胚性幹細胞を取得する方法の発明」に関するもので、体細胞の分化能力を失うことなく長期間に亘ってヒト胚性肝細胞を体外で維持する方法が開示されていた。2004年7月13日、EPO審査部は、本件の対象は欧州の欧州特許条約(EPC)によって特許を受けることができない発明に関するものであることを理由に、本件発明を拒絶した。問題の一つは、幹細胞を取得する方法によれば出発物質である霊長類(ヒトを含む)の胚細胞がプロセス中に破壊される、という点にあった。審査部は、この点に注目し、本件発明は欧州特許条約及びバイオテクノロジー発明の法的保護に関するEU指令(98/44 EC)の規定に違反するものである、とした。このEU指令は、欧州特許条約の一部を構成するものであり、そこではヒトの胚を産業や商業の目的に利用する発明について特許を付与することを禁止している。 したがって、今回の決定は欧州特許条約の規定及びEUバイオテクノロジー指令に沿ったものであるが、拡大審判部は本決定がヒト幹細胞の特許性に関する一般的な問題を扱うものでないことを強調した。