欧州特許庁》「所謂スイス型クレームを認めない」ことを決定(拡大審判部G2/08審決)
欧州特許庁(EPO)の拡大審判部は、2010年2月19日の審決(G2/08)において、今後は所謂スイス型クレームを認めないことを決定した。
この新たな運用は、本審決のEPO官報での公表の3ヵ月後から適用され、遡及適用はされない。
今後、既知の化合物に関する「第一医薬用途」もしくは「第二以降の医薬用途」の発明をクレームする場合には、以下のようなEPC2000下で認められる記載とする必要がある。
〔記載例〕
Compound X for use in the treatment of disease Y.
※従来のスイス型クレームによる記載例(今後は認められない)
Use of compound X in the manufacture of a medicament for use in the treatment of disease Y.
今般の運用変更はクレーム記載方法に影響を及ぼすものであるが、医薬発明に関する特許性の実体的問題とは関係ない。また、従来のスイス型クレームで記載されたクレームをEPC2000下で認められる記載へ補正することは、通常可能であると考えられる。
なお、これまで、既知の薬剤を同じ疾病の治療に使用する際に投薬方法のみが従来技術との相違点である場合に医薬用途発明として新規性を認めるか否かの判断基準は示されていないが、上記審決は、投薬方法に対して医薬用途発明として新規性を認めることを明示した点で注目すべきものと言える。