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【米国】 Commil USA事件の最高裁判決

IPニュース 2015.07.12
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 2015年5月26日、米国最高裁判所は、Commil USA, LLC v. Cisco Systems, Inc.のcaseにおいて、善意で特許無効を信じることは、誘引侵害に対する有効な抗弁とならないとする判断を示した。その概要を以下に説明する。

Commil USA, LLC v. Cisco Systems, Inc.

(No. 13-896, Decided May 26, 2015)

1.本判決のポイント

 善意で特許無効を信じることは、誘引侵害に対する有効な抗弁となるか。

2.結論

 善意で特許非侵害を信じることは、誘引侵害に対する有効な抗弁となるが、善意で特許無効を信じることは、誘引侵害に対する有効な抗弁とならない。

3.背景

・上訴人(特許権者):Commil USA, LLC

・被上訴人(被疑侵害者):Cisco Systems, Inc.

・対象特許:米国特許第6,430,395号(近距離ワイヤレスネットワークの実行方法)

・Ciscoは善意で特許無効を信じることは米国特許法271条(b)の誘引侵害に対する抗弁となると主張し、この主張を地裁は拒絶したが、CAFCは認めた。

4.最高裁判所の判断

 裁判所は、CAFC の判断を覆し、米国特許法271条(b)の誘引侵害に対して、善意で特許無効を信じることは有効な抗弁とはならない、との考えを示した。また、誘引侵害については、Global-Techの判決において、誘引侵害は、誘引行為が特許侵害を構成することを知っていたことが必要であると判断しており、今回の判決においても、その判断を再度支持した。

 上記判断の理由として、裁判所は、以下のとおり見解を述べた。

 侵害と特許有効性とは別の問題であり、法律において別の防御手段を有している。そして、特許無効を信じることは、積極的に侵害を誘引するという271条(b)の故意の要件を否定できない。そして、侵害が問題である場合、特許無効は対応する問題ではない。そうでなければ、被疑侵害者は特許有効性を明確かつ確信(clear and convincing)の基準で覆さなければならないという、特許の推定有効性を弱体化させてしまう。

 裁判所はまた、この抗弁が問題である3つの実際的な理由を説明した。1つ目は、特許無効を信じる被疑侵害者が、裁判所や特許庁で特許無効を訴える手段を有していること、2つ目は、この抗弁は、ディスカバリー費用の増加や陪審員が判断しなければならない論点の増加及び複雑化等によって、特許訴訟を過度に煩雑化させること、3つ目は、契約の不法妨害、不法侵入、刑事告発等に関して、合法であると信じていたことが抗弁とならないことと同じである、ということである。

 なお、上記判決に対して、2名の判事が反対意見として、無効の特許に侵害はないので、特許無効を信じることは特許を侵害することはないと信じることになり、そして、無効の特許について侵害を誘引することはできないので、善意で特許無効を信じることは誘引侵害に対して有効な抗弁となる、との見解を述べている。

 Commil USA, LLC v. Cisco Systems, Inc._最高裁判決

以 上

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