オーストラリア特許庁は、Myriad判決を受けた新たな審査基準を2015年12月15日に発表しました。
まず一般原則として、特許適格性に関して以下の4ステップのテストを実施することを規定しています。
1.クレーム中の物質は何か?
2.クレーム中の物質は人によって作られたものであるか、または改変されたものか?
3.発明が経済的意義を有するか?
4.クレームされた発明は新しいクラスのものか?
そして、新しいクラスのクレームは慎重に検討する必要があるとされています。その具体例として以下が挙げられています。
・組換えまたは単離タンパク質
・医薬または他の化学品
・治療方法
・除草剤を適用する方法.
・コンピューター技術の適用
遺伝子について、遺伝子は基本的には遺伝情報を発表しているのみであるとして、原則として特許適格性がないものとされています。より具体的には、
・DNAまたはRNAであるか
・ヒトまたは非ヒトであるか
・コード配列または非コード配列であるか、
に関係なく、天然に存在する配列を単離しただけでは特許適格性がないとされています。
また、天然に存在する場合は、以下のものも特許適格性がないとされています。
・cDNAまたはRNA
・プローブおよびプライマー
・単離された妨害/抑制核酸
遺伝子は、改変されたものであるか、製品や方法のクレーム内に適切に組み込まれた場合には特許適格性があるとされています。
なお、上記の基準を考慮すると、遺伝子以外でも、天然にそのまま存在するもの(例えば天然物から抽出しただけの化合物等)は特許適格性がないと判断されると考えられます。
オーストラリア特許審査基準
http://manuals.ipaustralia.gov.au/patents/Patent_Examiners_Manual.htm