【欧州】部分優先のG1/15拡大審判部審決(速報)
部分優先及び有害な分割出願(Poisonous/Toxic divisional)が論点となっていた拡大審判部事件G1/15において審決が公表されました。
審決によれば、優先権書類に直接(少なくとも黙示的)かつ一義的に記載され、かつ、実施可能な程度に記載された発明を含むクレームは、当該発明がそのクレームにおいて包括的な表現で規定されていても、或いは、他の選択肢と並列的に規定されていても(generic “OR”-claim)、そのクレームにおける当該発明に基づく部分優先は否定されず、部分優先の判断について他に実質的な要件は適用されない、とのことです(審決結論)。
具体的には、generic “OR”-claimの部分優先の有効性は、以下の二段階のステップで判断されます:
(1) 当該優先権書類から当業者が導き出すことができた事項を示すため、優先権書類に開示された主題を、優先期間中に開示された先行技術に関して決定する(G 2/98が結論づけた基準、及び出願人又は特許権者による優先権主張の根拠に基づく)。
(2) 当該主題が、当該優先権主張に係る出願又は特許のクレームに包含されるか否かを検討する。包含される場合、当該クレームは事実上、概念的に以下の二つの部分に分割される:
– 当該優先権書類に直接かつ一義的に開示された発明に対応する部分;
– その優先権主張が有効でない、generic “OR”-claimの残りの部分。
(審決書6.4参考抄訳)
そして、上記部分優先権の判断において、他の追加的要件が必要でないことが示されました(審決書6.7)。
今般の拡大審判部審決により、従来、懸念されていたPoisonous/Toxic divisionalによる問題点は解消される可能性が高いと思われます。
G1/15:https://register.epo.org/application?documentId=EZ0WSAB00165684&number=EP98203458&lng=en&npl=false
青山特許事務所
欧州・中東・アフリカ部会