先輩所員のインタビュー 弁理士  大釜 典子

自ら企画した海外研修の成果を
めいっぱい実践に活かしたい。

弁理士
大釜 典子
特許 / 金属材料、半導体材料、磁性材料、
医療デバイス、衣料品
2001年入所 / 2016年弁理士登録
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新卒で入所してから、
一歩ずつ階段を登って今がある。

私は新卒採用で青山特許事務所に就職しました。就職難の年で就活に苦労していたときに、知人との会話から特許事務所の存在を知ったのがきっかけです。特許業界がどういった所かはよく知りませんでしたが、縁あって青山特許事務所に採用していただきました。
特許業界についてよく知らない私が、青山特許事務所に就職できたことは非常に幸運でした。規模の大きい事務所ですので、私のような未経験者でも長い目で育ててくれるからです。
青山特許事務所に入所後、私が最初に任されたのは、海外のクライアントが作成した英文明細書を和訳する仕事でした。

英文明細書が存在するため、特許翻訳のスキルが身につくだけでなく、特許明細書の書き方の勉強にもなりました。翻訳の仕事と並行して、研修や上司の指導を受けながら、日本の出願書類の作成の補助を行うようにもなりました。その後、米国などの海外に出願する仕事にも関わるようになりました。
こうして一歩ずつステップアップして、今は外国案件および国内案件を同程度の割合で手がけています。

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広い権利範囲のまま
特許性を認めてもらえるかが、腕の見せどころ

現在は、鉄鋼、磁性材料、半導体、医療デバイスなど様々な分野の特許案件を担当しています。「特許」といえば従来にない画期的な新技術をイメージしますが、私の扱っている分野では、技術改良に特徴がある案件がほとんどです。
新たな技術改良に従来技術と明確な違いがある場合は比較的特許になりやすいのですが、その違いをしっかり理解して明細書に表現しなければなりません。逆に従来技術との類似性が高い場合は、従来のアプローチに比べて、どのような点に特許性があるのかを上手く説明して、審査官に納得してもらえるかが重要となります。従来技術との違いをはっきりさせるために権利範囲を狭くしすぎるのは、クライアントにとって望ましくありません。できるだけ広い権利範囲のまま審査官に特許性を認めてもらえるかが、弁理士の腕の見せどころです。

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自ら企画した海外研修プログラムで
3か月、アメリカで学ぶ。

海外への出願案件を担当していくと、海外研修に行くことができます。青山特許事務所の海外研修プログラムの大きな特長は、研修を受ける者自らが、自分の受けたい研修プログラムを企画できること。だから、非常に勉強になります。
セミナー受講を中心に研修プログラムを組むこともできますが、私は実地研修に重きを置きました。アメリカでの出願を代理していただいている特許事務所に部屋を借りて、私が実際に担当している案件を一緒に取り組むという実地研修です。2017年7月23日から10月13日までの3か月をアメリカで過ごしました。海外研修前には、1年半ほど英会話スクールに通って英会話のスキルを身に付けました。

研修期間の初めは西海岸の特許事務所を何カ所か表敬訪問し、親交を深めました。実際に顔を合わせると、親近感が深まることを感じることができました。最後の2週間は座学とワークショップを行うIPセミナーの受講にあてました。そして、研修の中間の6週間はアメリカ出願の代理をしていただいているワシントンD.C.の特許事務所に部屋を借りて、毎日、出勤しました。
そこでは担当の女性米国弁護士と頻繁にディスカッションしながら、担当している案件に取り組みました。時には彼女から日本語文献について質問され、意見を述べる機会もありました。その合間に審査官とのインタビュー(審査官面接)に同席させてもらったり、アメリカのプラクティスに関する所内レクチャーを受けたり、非常に充実した海外研修でした。

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日米のプラクティスの違いを学んで、実践に活用

海外研修で驚いたことと言えば、アメリカの特許事務所内の自由なムード。始業や昼食時のチャイムなどなく、好きなときに事務所に来て、好きなときにお昼を食べるという感じでした。半面、責任や成果を厳しく問われるのだと思います。日本にそのまま持ち込んでいいとは思いませんが、仕事のやり方にはいろいろなスタイルがあることを知っただけでも、視野がずいぶん広がった気がします。
実践的な成果としては、アメリカおける審査官とのインタビューの意義を納得できたことが大きいですね。アメリカの代理人はインタビューを強く勧めてきます。日本ではアメリカほど頻繁にインタビューを行わないため、本当にそうすべきかどうか、少し疑問に思っていました。しかし、インタビューに同席できたおかげで、インタビューをすることにより、書面からでは読み取りにくい審査官の考え方を具体的に説明してもらえること、その審査官の考え方に誤りがあれば口頭で丁寧に説明できること、また補正に対する審査官の見解を事前に確認できることなど、アメリカでのインタビューの重要性を得心することができました。 特に、日本とアメリカでは電話でのインタビューでディスカッションできる範囲が異なるため、その位置づけや重要性も異なるのだと思います。すぐに実践に活用したい大きな学びの一つです。